「まぁ瑠色は少ない方がありがたいからよかったけどね」

「あら、瑠色ちゃんの人見知りは相変わらず激しいのね」


人懐っこそうな笑顔を浮かべながら瑠色にくっついてくるままさんは、美乃ちゃんと少し重なって見える。


「もうお母さん、そのスキンシップ恥ずかしいから!」

そう考えると美宇の冷静な所は、ぱぱさんに似てるのかもしれない。


──家族っていいな。


美宇たち守谷一家を見てるとそう思える。

お父さんがいなくて、お母さんも三年間不在の瑠色にしたら微笑ましい光景だ。


少し寂しく思った瑠色は、きゅっと紫音のスーツの裾を掴んだ。

そんな瑠色の心情を察したのか、よしよしと頭を撫でられた。


すっと顔を上げ紫音を見上げると、目線は美宇たちに向けたままだった。


そんな紫音の優しいところが瑠色やみんなに慕われる理由だと思う。



入学式のあとはそのまま電車に乗り、楽しく五人で帰った。