『──…新入生の皆さんはそれぞれ席についてください』


アナウンスが入り、合格発表のときに見たクラスの場所に行き、美宇と席を探す。


美宇も瑠色も同じ四組で、美宇が三十九番、瑠色は四十番だった。

まぁ“も”と“ゆ”だからそうなるだろうね。

小学校でも中学でも、クラスが同じときは出席番号が前後になることは多かった。


「瑠色、ここだよ!」

「うんっ。」


ふと周りを見渡すと、少ないとはいえ、百人弱はいる。

ここにきて人見知りが出てきたのか、少し無口になる。


「…瑠色、今更?」

「……うん、今更。」

「ほんと、激しいよね~。てか今日の瑠色可愛すぎ!」

「………」


え、それこそ“今更”なんですが…。

まぁ可愛くはないけどねー。




『…それでは第三十二回、翡翠学園高校の入学式を開会します。始めに…──』


こうして長くて面倒くさい入学式が始まった。