あの時、俺は覚悟を決めた。だからこうして今は俺んちに翼が住んでいる。

けどまたあの時の様に翼の様子がおかしい。
まさか起こさなかっただけであんな怒るはずがない。

「翼…またなんかあったのか?」

俺は昔の様にまた一人で何かを抱え込んでいるのだと思った。

「……………」

何も言わない翼が余計心配になったが次の翼の言葉に少し安心してしまった。

「何もねぇよ(笑)冗談だって!!ぶはっ!何?もしかして心配した?笑」

「お前…はぁ…ったく冗談ぬかすなよ~まぢ心配したんだからな!!」

そう言う俺の言葉に「わりぃ、わりぃ」と笑いながら言う。

俺は本当に翼を守れているのだろうか…?
この時の翼の強がりを何故気付いてやれなかったんだろう…


「ちょっと!!あんたいい加減にしなよ!?あたしらよりちょっと慶ちゃんと仲良いからって調子にのんないでよね!!」

優奈は俺らの中に割って入るかのように後ろから大声を出した。

「優奈、俺は大丈夫だから」

優奈をなだめようとしたが遅かった。翼の一言で余計に話をややこしくさせた。

「んだよ!!慶はお前らなんか眼中にねぇよ!!」

意外な発言に俺は驚いたが今の翼の言葉を聞いた優奈、そして周りにいた奴らが間に入ってきた。

「へぇ~随分な言い方じゃん。じゃああんたは慶ちゃんのお気に入りだって言いたいわけ?」

「そうよ!!あたしらが眼中にないならあんたはあるってわけ!?」

優奈に続き、涼子も言う。
しかし、あの強気の翼は何故か二人の言葉に黙りこくってしまった。

「おい!!涼子、優奈、もうその辺にしとけ」

俺は翼を気にしながらも二人の方に体を向けた。