傷つける人はいても救ってくれる人など、私の周りにはいない。 そう思っていたら、温かいものに包まれた。 「俺が、話聞くから」 泣いてもいいんだよ、とでも言うかのように背中を擦ってくれる。 「っ…や、山本っくん…」 「大丈夫大丈夫」 授業があるという事も忘れ、嫌いな教室で温かい山本くんの胸の中で私は泣いた。 泣き止んだ頃には、母親への、クラスメートへの、自分への憎しみを全て吐き出せたような感じがした。