いいじゃねぇか、無理に忘れなくても。 "忘れる"なんて所詮口だけだったんだ。 そんなことを考えていると、気づけばあの道を歩いていた。 「俺……全然忘れられてねーし。」 無意識に近道してしまった自分に自然と笑みがこぼれる。 「会いてぇな……。」 ボソッとつぶやきながら、顔を上げると前からアイツと男が歩いてきた。 「……アイツだ。」 変わってない、地味なアイツ。