「10年・・・」
「そそ、長いでしょ。俺とカイト」
少し懐かしんでるのか 彼は遠目を見ながら 呟いた。
そしてわたしのほうを見直すと 「飲まないの?まいちゃん」
と彼は自分のグラスを わたしの目の前に置いた。
「一回、飲んでみなよ。ウイスキー」
ニコニコ 笑う理央さんは 彼とは違う 魅力を持っている。
・・・そういえば 彼も飲んでたっけ。
何もかも 彼に結びつけてしまう 思考を止め
理央さんのグラスを手に取り口元に運ぶ。
決して美味しいとは言えない 液体を 一気に飲み干すと
体中の血液が 熱をもっていくのがわかる。
その液体を飲めば飲むほど何もかも忘れられる気がして・・・
わたしは 狂ったように 浴びるように 飲み続けた。

