まだショップ店員を初めて２、３ヶ月経つか経たないかの頃。
都内某ﾃﾞﾊﾟｰﾄから近くの店舗へ異動になった。





うちは父親の仕事関係の知り合いに紹介してもらった某ﾃﾞﾊﾟｰﾄ内にあるﾒﾝｽﾞﾌﾞﾗﾝﾄﾞで働いている。


短大を10日で辞めて、早く働きたくてこの道を選んだ。
母親は反対したけど、父親は理解してくれてここでまずはやってみれば？と紹介までしてくれた。



だからﾒﾝｽﾞｼｮｯﾌﾟに不安はあったけど、頑張ろうと思ったんだ。







異動先は前居た店舗より売上も悪くて、想像以上に客も来ない。
周りのｼｮｯﾌﾟもﾒﾝｽﾞﾌﾞﾗﾝﾄﾞばかりで、数少ない女の子のｽﾀｯﾌと暇な時間におしゃべりばかりしていた。



階段を挟んだ隣のｼｮｯﾌﾟに一際目立つ男がいた。
派手好きそうで足が長くて顔が濃い。

初めはそんな印象しかなかった。

ｹﾝｲﾁ、21歳。




ｼｮｯﾌﾟ自体も3人体制とかで回していたので、割と打ち解けるのに時間はかからなかった。



もちろん、それは周りのｼｮｯﾌﾟとも…。


休憩時間ではみんなで話すこともあれば、ｹﾝｲﾁと話すこともあった。



親密になりだしたのは、ﾃﾞﾊﾟｰﾄ全体での打ち上げみたいな飲み会での事だった。