「藤村 ゆうか」

 「はい」

 教室に響く担任の声。

 今日もまた、いつもどおりの一日が始まる。

 クラスメイトの名前が呼ばれて、私も呼ばれる。

 
 「鮫島 恭子」

 「はい」

 なんら変わらない普通の女子高生。

 何にも変わらない普通の女子高生。

 かわいくもなく、頭もいいわけじゃない。

 


 だけど…みんなとは違うことがある。



 
 まだ、誰にも話していないことがある。

 自分の職業について、誰にも話していない。

 誰にも…話せない。




 みんな、路頭に迷っている。