「そうだが…?」

土方は己を見る目の前の男に腹が立った。
自分の名前を知っているのに自分の名前を話さないからだ。

「テメェは誰だ?」

これでもかと思うほど男を睨む。
男はぽりぽりと頭を掻く。

「俺かぁ?島崎勝太だ。」

島崎勝太…?聞いたことがある。華麗な剣さばきで、敵うものはいないと有名だ。

すると、土方は彦五郎の方へ顔を向けた。

「稽古…つけてもらってもいいんだろ?」

土方の顔は自然と頬が緩んでいく。
だが、その笑みからは不気味な空気を漂わせ、目から殺気が溢れ出ている。

彦五郎はニヤリと笑った。

「…行って来い。」

土方は島崎とその場で平行に移動し、のぶと彦五郎の所から離れていく。

そして、持っていた木刀を力強く握り、腰を落として構える。

島崎も腰にさしていた木刀を抜き、構える。

だが、殺気を放つ土方とは対象に島崎は澄んだ瞳を向けている。
そして微笑む。

「何笑ってんだ。」

少々怒りぎみの土方が口を開く。
だが島崎は応えない。

「面白そうだ。」

島崎はそれだけ言い、お互いに睨み合う。

そのまま微動打にしないまま、時は流れていく。

風が吹き、外の木の葉が震える。

(今夜は嵐かな…)

島崎はそんなことを考えて、目を瞑り音に集中する。

ビューー

突然強い風が吹き、二人の間に木の葉が舞りこんだ。

「「はあぁぁぁぁ!」」