ハァー!

素早く空気を吐き、木刀を島崎へ向けて押し進む。

だが、島崎も待っていたかのように、同じタイミングで木刀を土方へ向けて押し進んでいた。

カンッ

本物の刀ではないゆえ、骨まで響く音が道場にこだまする。

ギリギリ…

木刀を混合わせ、両者一歩も、動かない。

(ここまではあの日と同じ…)

土方はスッと後ろへ下がった。

島崎はそこを見逃さず、すかさず木刀を振り上げる。

(さすが…突きが強烈だ)

島崎の木刀が土方へ当たるまで、あと少し…

だがその突きが当たることは無かった。

当たる寸前で土方は島崎の斜め後ろへ体さばきをしたのだ。

無防備な状態の島崎の背中をすかさず木刀で突く。

島崎も当たるはずがなく、すぐに切り替えて土方の突きを受ける。

(前と全然違う…)

島崎は危機を察知したのか、攻撃をされてはならんと連続で突きを出した。

カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!

規則正しい木刀のぶつかり合う音が道場に響く。

土方も島崎と同じ作業をし、木刀を突く。

カンッ!

この響きを最後に、二人はサッと後ろに下がり間合いをとった。

両者互角の戦いだ。

土方もこの前とは全然違う。

(こいつ…あの短い期間でこんなに突きを強くしたのか…)

一つ一つが重く、こちら側が攻めていないと攻撃をくらうのだ。

(あの丸太か…)

だが道場にある丸太な傷もなにも付いていなかった。

(まさかな…)

島崎の顔が笑顔になった。