拓哉君は、あたしの隣に来て、空を見上げた。
鼓動が、ありえない速度で動くのが分かる。


「空さんも、見たりすんるんだ。」

「えっ…あっうん。」

「オレさー、夕焼けとか好きなんだよねー。」

「そうなんだっ…。えと、あたしは……夜空かな??」

「あ、一番好きー。」


そういって、あたしに微笑んでくれる拓哉君。
幸せと、緊張が混ざって、上手く笑えなかった。


「あれ、弁当?」

「へっ!?あっ、そうだよ。久しぶりに、自分で作ったの。」

「へー。すごいじゃん。オレ、作った事ないわ。」


そういって、苦笑した後、また空を見上げた拓哉君。
あたしもつられて、空を見る。


さっきまであった飛行機雲は、もうすでになくなっていて、ちょっとショックだった。
でも、その代わり、へんな形の雲があった。

その雲は、まるで――


「「アイスクリーム」」

「えっ。」

「あっ。…空さんも、あの雲見て、そう思った??」

「うん…。拓哉君も?」

「おー。一緒。何か、俺らって以心伝心してるみたいだなー。」

「そ…そうだねー。」


以心伝心なのは嬉しいけど、一つ、伝わって欲しくない気持ちがある。



君が好き―――。

これだけは、ちゃんと、自分の口で話したいの。