暑い夏のあの日、
志賀の野球人生は
幕をおろした

「「ありがとーざっした!!」」
汗と土でどろどろの頬を
濁りのない涙が筋を作る

チームメートが周りを気にせず
声を出して泣いてる中、
聡太は…笑っていたんだ

1人1人に声をかけながら
すごく優しい笑顔だった

「聡太…」
そんな姿を見ていたあたしが
涙が止まらなくなって
応援席で静かに涙を流した

「晴夏ー!」
グラウンドから応援席に
向かって志賀が叫ぶ

「全力で投げたぞー!」
両手でガッツポーズをして
今にも泣き出しそうな
切ない表情をしながら
「応援、ありがとなー!」

そう叫んで、泣いた。

――試合終了のサイレンが
ずっと空に響いていた