志賀 聡太という男は
野球部のエースであり、
谷津 晴夏である
あたしの特別な存在

中学3年になった志賀は
最後の大会に向けて
毎日必死になっている

そんな志賀の姿を
あたしはいつも窓から
眺めるのが日課だった

(あ、電話だ)
駅のホームで電車を待っていた
あたしの携帯が鳴る

「もしもし」
「あ、晴夏?俺だけど」
「…志賀?」
「お前今どこ?」
「…駅のホーム」
「ホーム?…あ、わかった」

(切れちゃった)

時刻は午後6時18分
電車が来るまであと3分

「みっけた」