「ねえ志賀」
「何?」
「野球、頑張ってね」
「どしたの急に」
「ううん、別に」

恥ずかしくなって
志賀の3歩先を歩く

「…忘れないよ、その言葉」
志賀が呟く

「甲子園、連れてってね!
…なんて、ベタすぎる?」
そう言いながら振り向き
目にうっすら涙を浮かべて
聡太をまっすぐ見つめた

「晴夏…」
「聡太っ」
聡太の胸に飛び込んだ

「野球してる志賀が好き…っ」
「うん…」
「笑ってる志賀が好き…っ」
「うん…」
「だから…離れたくない」
「……」
「でも…っ今は」

「聡太に野球して欲しい…っ」

糸が切れたように涙が
溢れて止まらない
聡太はあたしの想いを
全部受け止めてくれた

「連れてくよ、甲子園」
あたしを抱きしめながら
少し涙声で聡太は言った

「必ず。約束する」