「覚えてるのはこれだけ。」


あたしは深く呼吸した。



『それから保健室に運ばれてきた。』



陸はあたしに優しく微笑む。



「ずっと…ずっと手、握っててくれた??」


あたしは陸に握られた手を見る。



『あぁ…まあな……』


照れたように笑う陸。



あたしが見た夢に出てきた人影。



そして大きな手のひら。


あれは陸の手だったかな…??


少しだけ…桐ちゃんであることを期待した。



今ここに陸がいるということは…



あたしに必要なのは、


桐ちゃんじゃなくて…


陸なのかな…??



「ねぇ…陸。」



今、陸があたしのことを好きなのか分からないけど…



あたしはある賭けをした。



「あたしと…付き合わない??」



勝手に動いた口。