―Side 龍貴―



俺は屋上の扉を開けた。



そこには夏希の姿があった。


俺が屋上に来たには理由がある。


さっき、部室で陽菜と別れたあと、たまたま陸にあった。



『夏希、屋上行った。』


陸はすれ違う瞬間、小さな声で言ったんだ。


でも俺は夏希のところへ行く勇気なんてなくて、そのまま職員室へ行こうと思った。


でも、


『行ってやれよ。』


と、陸に言われた。


『お前が行かないなら俺が行く。』


陸はそう言って屋上へ行こうとした。


俺は気にしないように足を前に出した。



でも、無理だった。


陸に夏希を取られるかもしれない、そう思ったら不安で不安で自然に足が動き出していた。



『ごめん、陸!!

やっぱ俺、無理だった。』


先を歩いている陸を抜かして俺は階段をダッシュで昇った。