夏希の話が終わったあと、桐ちゃんが教壇に立った。



『俺さ、話すの苦手なんだって。


みんなもそのことは知ってるだろ??


だから俺、1人1人に手紙書いてきた。』


桐ちゃんの言葉のあと、教室がざわつく。




『はい、静かに!


順番に配ってくから名前呼ばれたら取りに来い。』


夏希は黙ってぼーっと窓の外を見ている。




『安藤。』


あいうえお順の1番目、安藤から始まった。



夏希は名字が海道だから早いはず。


でも私って前田だから相当あとになるよね…。



そう言えば桐ちゃん、夏希の手紙になんて書いたんだろ??


もしかしたら、


『好き。』


とか、書いてあったりするかもしれないよね?



楽しみだな……。