俺はベンチからしか応援できなくて


それがものすごくもどかしい。



何もフォローすることができなくて、

ただ祈ることしかできない。



『桐島先生。』


隣で俺と同じように夏希を見つめていた島先生が口を開いた。


『僕、夏希を信じてます。


ただ今の夏希はボロボロなんです。


だから結果は分からない。



どっちに転ぶか分かりません。


でも僕はどっちに転んだとしても夏希を抱きしめます。


よくやった、って頭を撫でて抱きしめます。



それで…いいんですよね??』


島先生にはもう結果は見えているんだ。


いや、島先生だけじゃない。



みんな、みんな口に出さないだけで分かっているんだ。



この試合の結果が。


ただ怖くて目を逸らしている。



『ストライクツー』



『でも島先生。


諦めるのは早いんじゃないですか??』


俺も今の今まで諦めてた。



だけど、夏希はあの肘でバッターから2ストライク取ったんだ。



もしかしたら、俺たちにもまだ可能性は残っているかもしれない。