「大ちゃーん!!
今日も張り切ってるじゃんか」
いつものように部室でジャージに着替えてグラウンドに出ると
大ちゃんの姿。
『いえ…そんな…』
照れているのか大ちゃんは頭を掻く。
「じゃっ練習始めよっか」
それからランニング、体操、柔軟、ダッシュを行う。
今年の1年生も練習にだいぶ慣れてきたのか疲れを見せている子はいない。
「次、キャッチボールね~」
いつも通り陽菜とキャッチボールをする。
最初は軽めに、段々距離を置き遠投する。
【ズキッ】
…………………あれ??
どうしたんだろ……
いつもならこんな距離…届くのに…
どうして陽菜のところまで届かないんだ??
遠投している途中に肘に痛みが走った。
「夏希??今日、調子悪い…?」
陽菜の心配そうな声が聞こえる。
「………そうかもしんない…」
と、私は呟いた。
そうかもしんない…なんかじゃない。
分かってたんだ、本当は…
ただ怖くて私は見て見ぬふりをした。
この判断が私の選手生活を狂わせたのだった…