第1球目。


『ど真ん中、ストライク。

いい球投げるじゃん』


おもしろそうに笑う大ちゃん。

確かに今のはものすごくいい球で、真ん中に来た。


第2球。


『おぉ・・・危ね。』

夏希のボールは大ちゃんのバットにかすり、ファール。


ってか大ちゃんの生の声聞いてる気分だ。


”危ね”なんて、大ちゃんも言うんだな


第3球。

このボールを見逃せば大ちゃんは3振だ。


なんて考えていたのに、


【カキーン】


白い球はキレイな弧を描き、遥か向こうのほうへ飛んで行った・・・


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

それから、1分くらいの沈黙。


その沈黙を破ったのは、

「すげぇ!!大ちゃんすごいよ!!」

夏希だった。


『ちょっと本気になりすぎました。

おとな気ないですかね・・・??』

照れくさそうに頭をかく大ちゃん。


『でもやっぱりこのボールのほうが断然重い・・・ですかね?』

大ちゃんは近くに落ちていたソフトボールを拾う。


「そりゃあ、野球のボールとこれとでは大きさが全然違うしね。」

思ったままのことを口走る私。


『あの・・・陽菜??

僕のこと、キライですか・・・?』


大ちゃんは申し訳なさそうに私に聞く。


「別に。至って普通。


好きでもなければ、キライでもない。」


うわっ・・・今の私、ものすごく可愛くない。


『そうですか・・・・・・』

大ちゃんは肩を落とし桐ちゃんのほうに走って行った。