『僕が野球やってることに気づくなんて・・・』

ふふふ・・・

思わず笑ってしまいそうになる。


それは当たり前ですよ。

だって

『夏希の趣味って読書なんですけど、
その中でも推理小説を好んで読みます。

で、推理小説で一番好きなのが
”シャーロックホームズ”なんです。


”シャーロックホームズ”を本気で尊敬してるんですよ、夏希は。
だからきっと島先生を観察したんです。』


俺もアイツに昼飯がなんだったとか、
いろんなことを当てられた記憶があるからな。


俺もそれに習って観察を怠らない。

だから夏希が島先生が野球をやってることに気が付いた理由も知っている。


『島先生は手が日焼けしてませんよね?

それはバッティンググローブのせいです。

まず1つめのポイントはそれ。』

島先生の手を指す俺。


『それだけじゃ確信まで行きません。

もう1つのポイントは、
”手の肉刺(まめ)”です。


そんなにもゴツゴツしているのは
”バットの振りすぎ”じゃありませんか??』

俺の言葉に驚いている島先生と中村。


『お前よくそんなこと気が付いたな・・・』

と、中村が言っている。


当たり前だろ??

夏希に負けたくなくて俺も必死でホームズシリーズを読んだんだからな。


『夏希も桐島先生もすごいですね。』

島先生は小さく拍手。


『俺、ソフトボール部の顧問なんですけど、
島先生もうちの部活に来ますか??』

と、俺の質問に

『はい!!行きたいです!!
行かせてください!!』

と勢い込んで答える島先生。

かなり野球が好きなんだ、と感じる。