「夏希もちょっとやりすぎだよ。」
桐ちゃんの説教が終わり陽菜との帰り道。
「だって向こうが悪いじゃん??」
「でも格好良かったよ!!」
陽菜の太陽のような笑顔が眩しい。
「それはどうもありがとう。
それにしても幼稚だよね。」
今日だけで”幼稚”という言葉を何回発したのだろう…。
「それは違うよ。
男子が幼稚なんじゃなくて夏希が”大人”なんだよ。」
大人……か………。
いつからだろうか……。
あたしが弱い自分を隠すようになったのは…。
「夏希?お兄ちゃん、今何歳だっけ?」
「何歳だっけな?
確か今高3だから18じゃない?」
あたしの兄貴
海道 仁(カイドウ ジン)
高校3年であまり家にいない。
と、いうか1年のうちで30日くらいしか家にいない。
でもそんな兄貴のことがあたしは結構好きなんだ。
家にいなくてもたまに帰ってきたら必ずあたしと会話を交わす。
だから兄貴が兄貴で良かったって思う。