「こんな偉そうなこと言ってごめん。

全員に理解してもらおうとは思ってない。


この中の10人に1人……。


ううん…このクラスの中の1人だけにでも、
あたしの思いが伝わっていればそれで十分。


と、言うわけで堅苦しい話は終わり!」


夏希は自分の席に歩いていった。


夏希。


きっとみんなの心に伝わったと思う。

その証拠に赤井みどりの仲間はみんな泣いていた。


夏希はそんな光景を見て微笑んでいる。



『俺から言うことは…何もない。

夏希に全部言われちゃったしな…


とにかく、これからはみんな仲良くしような』


俺の短いホームルームはこれにて終了。



教師の面目丸つぶれだよ…。


夏希…お前は教師を超すほどの生徒だ。


そして俺たち教師なんか足元に及ばないくらい…


お前は大人だった


誰よりも大人だった


お前は強かった


誰よりも強かった


お前は誰よりも格好良かった…。



夏希…俺はそんなお前が必要なんだ。


夏希…俺はそんなお前が好きなんだ。



でも俺は教師。

お前は生徒。


この壁は越えられない


この線は越えられない



俺がもっと強ければ…


俺がもっと大人だったら…


俺がもっと……



今でもよく考えるよ…。



夏希…なつき…ナツキ……