俺は玄関のドアを思いっきり開ける。

律果の姿は、ない。

俺は急いで律果に電話をかけた。


『おかけになったケータイは、電波の届かないところにいるか』


くそっ……。

あいつ、絶対勘違いしてる。

つーか、会話聞いてから家に帰れよ。


俺は、自分のチャリに股がり、急いで律果の家に向かった。


インターホンを押せば、律果のお母さんが目を丸くして出てきた。


「あらあら、どうしたの?」

「あの、律果と会いたいんですけど」

「……それがね、会いたくないって言ってるのよ」

「……」

「何か、あったの?」

「……いえ、じゃあ、また明日」

「ごめんね」



“会いたくない”

律果、

“また明日”

って、お前言ったじゃん。