「こんなに……誰が食うんだか」
鍋には、一人分だとは思えないくらいの量のお粥。
……どんな顔して、これを作ってくれたんだろう。
一生懸命に作ってくれたことは、ここに足を踏み入れればわかる。
……ほんと、敵わねぇよなぁ。
洗い物を済ませ、自分の部屋に戻る。
すると、ちょうど律果が目を覚ました。
「ゆう……?」
「お粥、片してきた。サンキュ」
「え、具合は?」
「だいぶ良くなったよ。昼過ぎたし、そろそろ帰るか?」
「ううん。夕方までいる」
「そ? じゃあ、」
俺はギュッと律果を抱きしめて、そっとベッドに押し倒す。
「バカ。まだ病み上がりじゃん」
「ん? もう全然平気」
「……」
「律果?」
「優、ゲーセン行きたい」
「は?」
「今度、ゲーセン行こ! ゲーセン!」
「あのな……」
なにこれ。
ムード台なしじゃねーか。

