「それに、夏休みこうやってパァーッと遊べるのは、今年だけだよ? 来年は受験で忙しいし」
「じゃあ、海じゃなくて普通に映画行こうぜ?」
「せっかく遊べるんだから、やっぱ海でしょっ!」
「……あっそ」
電車の中で、子供みたいに目を輝かせながら窓から海を見ている律果。
悔しいことに、
その姿はめちゃくちゃ可愛くて。
『次はー○○駅ー○○駅ー』
「ほら、律果。つくぞ」
「はぁーい」
……俺は、こいつの保護者か。
楽しそうにしている律果。
珍しく、鼻歌まで歌ってる。
……今日、いつになったら帰れんだろ。
なんて、密かに思った。

