「さて、俺はあんた達に協力した。今度は、俺に協力してもらう」



斎藤は、丁寧に紅葉をたたみ、懐にしまいながら言った


そんなにその紅葉が気に入ったのだろうか


私は斉藤の懐をじぃっと見つめた


「そうだよな!もうそろそろ皆も帰ったとこだろおし、試衛館に案内するよ」


「うむ、頼んだ」


私を無視して、スタスタとあるきだす三人


「ち、ちょっと」


私は、バタバタと走り、一番後ろで歩く総司に追い付いた


「ねぇ、鈴檎」

「なに、総」


不意に声をかけられ、隣を見ると、どこか楽しそうな顔をした総司が、斉藤をじっと見据えていた


「あの人、強いよ」


突然何をいいだすのやら


私は、眉間に皺を寄せて総司をみた


「なんでそんなことわかるの?」


すると、総司は私の頭をポンポン撫でた


「負けちゃうかもしれないなー」


「っ!?」


私は、目を見開いた


あの総司から

百戦百勝の総司から


"負け"なんて言葉を聞くなんて


斉藤とは、そんなに強いのか


はたまた、ただの総司の勘か


私にはよく分からない


この場合、どう返せばいいのやら…


腕を組んで暫く考えた結果


「ねぇ、総」

「なに、鈴檎」


私は、総司に笑顔で返した


「総が負ける所なんて見たら、びっくりして生き返っちゃうよ」