土方は、虚ろな目で化け紅葉にふんした斎藤を捉えた


「んだよ、ただの化け紅葉じゃねえか」


そう言って、顔を反らしたあと、ハッと気づき、もう一度、目を見開いて化け紅葉を見つめた


「あぁ!?化け紅葉!?」


そして、土方は珍しく絶望したように、頭を抱えた


「おれはついに、頭いかれちまったのか?…」


そう言って、また化け紅葉をみた


そして、妙にすっきりしたような顔で笑った


私には、その笑顔が気味悪くてしかたなかった


私が土方をみて、ブルッと震えた


そんな私を笑顔でみつめ、土方はポンッと叩いた


「俺は、とんずらさせてもらう」


そう言うや否や、真っ青な顔にもどり、光の速さでもときた道を逃げていった





「あっ!としぞーー!約束忘れないでねー」



きえゆく背中に叫んだが、聞こえていないようだ


私達四人は、今は見えない土方を確認したあと、皆で顔を見合わせた



「これは…」

「うん、作戦せいこー」



総司のきのぬけた応答に、私と平助はピョンピョンはねてよろこんだ


総司もほくそ笑んでいた


そんな姿をみて、斎藤は、「ふぅ」と息を吐くのだった