翌日、昨晩道場で寝かせて貰った私は勿論道場で目覚めた


お腹は空かないので、私はとぼとぼと勝太の部屋に向かった


途中、昨日会った女性と会ったが、見事にすり抜けた


私はそのまま周りに誰もいないのを確認して素早く襖をあけ……なかった



だって、今まで考えもしなかったけど、自分、亡霊なんだから、壁なんかすり抜けられるじゃない


思いきって進むと、案の定すり抜けた


そして、音もなく入ってきた私に驚いて叫びそうな勝太の口を急いでふさいだ



「…っむぐっ!!」


苦しそうなので離すと、勝太は申し訳なさそうに頭をかいた



「それでは、早速お話しとやらをしましょうか」


私の言葉を聞いて、勝太は目をキラキラと輝かせた


「実は、幼少期の頃から幽霊らしきものが見えていまして…誰に言っても、どうやら自分にしか見えていないものらしく、もしかしたら幻覚を見ているのではないかと不安でした。だが!!!!」


急にでかい声をだす勝太に、ビクッと体が浮いた

勝太は私の手をがっちり掴んでぐいっと顔を近づけた


「鈴殿に会えて、私が見ていたものは幻ではなかったと証明できて、心底安心いたしました!!もし良ければ、試衛館に住んで頂きたく思います!!」


あまりの顔面の圧に、ゔっと一歩後ろに後ずさる


確かに行く当てもないし、何より断れるような雰囲気ではないし


私は、はぁとため息をつき、汗を滲ませながら私の答えをまつ勝太の方を見た

「お世話になります」


その言葉を聞いて、勝太はとびきり嬉しそうな笑顔を見せた

「こちらこそ!これからよろしくお願いいたす!」