すると、山南は

「見えますとも」

と、微笑んだ

そして、いつのまに用意したのか、私の隣に茶をおいた


「どうです、一緒に茶でも」

私は、茶にはてをつけず言った

「私は、亡霊だから茶なんて飲まない」


すると、山南はまた微笑んだ

「そうですか」

それだけ言って、また茶をすすり始めた

暫くすすったあと、山南は茶がなくなったのか、私に話しかけてきた


「申し遅れました、私は山南敬助といいます。貴女は?」

私は、亡霊らしく低い声で、もはやお決まりと化した自己紹介をした


「私は、この試衛館に住み着く亡霊、鈴だ」


私の恐ろしい自己紹介をきいた山南は、笑顔で言った


「では、鈴さん…これからもよろしくお願いします」


頭をさげる山南につられて、頭をさげる私


「こ、こちらこそ、よろしくです」


少し語尾がおかしいが気にしない


すると、山南は「では、また明日」といって、縁側から消えていった


私は、隣においてある茶を見た

もう、冷えていてあまり美味しそうではない

でも、なぜだか茶が飲みたくなった

私は、行儀は悪いが、茶を一気に飲んだ

「ん、不味いな」


今度は冷めないうちに飲もう