そして、私はひたすら歩いて歩いて歩きまくって、さすがに飽きた
「そろそろどっか良いとこみつけて、地縛霊にでもなってみようかしら」
そんな物騒な事を言っていると、ひとつの古ぼけた表札を見つけた
【試衛館】
人は住んでいる見たいで、ごく普通の道場
なんだか、仲間がいそうな気がする
仲間とは、勿論亡霊の事だが
よし、決めた
「ここの地縛霊になってやろう」
そんなことを考えていると、突然後ろから大きな声がした
「君は、もしかして弟子入り希望か!!」
後ろを向くと、歯を出してニィッと笑った青年がいた
私は、こんなボロい所に弟子入りとは物好きもいるものだと、回りを見回した
だが、おかしなことに、誰もいない
おかしい
私の姿は見えないはずなのに……
こいつ、もしかして私が見えているのか?


