取り合えず私は城をでた



勿論、私は亡霊へと化しているので容易に抜け出せた


それから、私は取り合えず歩いた


亡霊と言うのは、とても便利だ


お腹が空かなければ、疲れもしない


私は無限に歩ける気がした


町をいくつか越えて、途中で犬に吠えられたり、まんじゅうを盗み食いしたり、浪士に悪戯したり



それはそれは楽しかった


城の毎日単調な生活とは訳がちがう


何をしても怒られないし、何よりお稽古をしなくていいのだ



これ以上の自由はない



私は懲りずに、それからいくつかの町をこえた