し…ん────


二人は睨みあったまま動かない


正確に言えば、山南も総司も恐ろしいくらい笑顔だった

ただ、周りが睨みあっていると勘違いしてしまうほど、二人の殺気は半端なものじゃなかった



暫く微笑みあったあと、先に痺れを切らしたのは……

「いつまでも来ないなら、俺のほうから行きますよ」


総司だった


スパンッ

言うや否や、目にも止まらぬ速さで打ち込む総司

それを受け止める山南


スパン

スパン

スパン


何回も何回も打ち合う二人


そんな二人を、回りは固唾を飲んで見つめていた


スパン

スパン


そして、先に仕掛けたのは


ドンッ

パンッパンッスパン!!


「一本、総司!!」


総司だった


だが、回りはまだ何が起きたのか分からない

戦っていた山南でさえも、目をパチクリさせている


それもそうだ

総司は、一度の踏み込みで、面、小手、胴の三ヵ所に突きを繰り出したのだ


皆が静まるなか、総司は一人呑気に木刀を土方に返した


すると、山南は道場の端で試合を見つめていた勝太に近づいた


何事かと、土方とさっきまで呑気にしていた総司や、その他の門下生達も戦闘体勢に入った