ことの発端は、たった一刻前


私は、紀伊藩の姫様であるが、残念ながら根っからのお転婆娘で、ちょっとやそっとではへこたれない、女子とは思えないような女子だった


まことに残念なことに、こんな娘でもやはり姫様なわけで


様々な習い事をたしなめていた


というか、やらされていた


だが、何回もいうが、残念なことに私はお転婆娘なのである



普通にお稽古をする訳がない


生まれて8年間、真面目にお稽古をしたことがない




今日もお琴のお稽古を抜け出したところ、見事に転落した


そして、今亡霊へと化したのである



普通の娘なら、ここで絶望して


「なんで、私だけ!?もう、死んだも同然じゃない!!」



と泣き叫ぶところだが、私は残念ながらお転婆娘だった


そして、単純だった



「とりあえず、一応は生きているし」



「どうせだから、自分の好きなように生きよう」



という、前向きな考えしか浮かんでこなかった