まさに一瞬だったその過程を、呆然と眺めていた私の体は、急にふわりと宙に浮いた
「わ!!」
驚いてバッと顔をあげると
「おいクソガキ。てめぇのせえでとんだとばっちりだ」
恐ろしい顔をした美青年の顔
私は、この男に樽のように担がれていたのだった
「なによ!お、男なんだから私のこと助けてくれたっていいじゃないの!」
ど迫力の青年に怖じけずきながらも、なんとか言い返す
「あ゛あ??だからたすけてやってんだろぉが」
「ごめんなさい」
般若のような青年に、しゅんと縮こまる
幸い、後ろから浪士は来ていない.........と思ったら
「まてごらぁ!!!!!」
「クソガキ!!!!」
後ろから二人の浪士が追っかけてきた
「ちっ、しつけえ野郎どもだな」
流石の美青年も、私を抱えて走るのは少し大変そうだ
この危機的状況を打破するためには.........
そうだ!
「ねえちょっと!私の言う通りににげて!」
いいことを思いついた
「あ?なんかいい案でもあんのか?」
困った時は、あの人だ
「ええ!まかせて!」
私が言うと、美青年は1つため息を吐いた
「もし浪士に捕まったらお前を生贄にしてやるからな」
最後の恐ろしい言葉はきかなかったことにしよう


