部屋の暗闇は、私の心までそめていく
私だって、本当は……
その時だった
「鈴檎、そこにいるの?」
襖の向こうから、聞きなれた声が聞こえてきた
「…っ」
返事をしようとしてやめた
きづいたら、泣いていたから
こんな顔、絶対に見られたくない
「鈴檎、入るよ」
「だめ!」
急いで涙をふく
「今行くからまってて!」
私は、勝太の羽織をそっとおいて、涙をゴシゴシふいた
「鈴檎、怖かったでしょう?」
外にいくと、心配そうに眉をさげた総司がいた
「べつに?私は何ともない。それより、お沙代さんは?」
「お沙代さんなら、発見が早くて命は助かるそうだよ」
その言葉をきいて、一気に力がぬけた
そっか、お沙代さんはこれからも生きていられるのね
「……………………………よかった」
ペタんと座り込む私の目の前にしゃがむ総司
そして、何も言わないで、私をぎゅっと抱きしめた
「ごめんね、鈴檎」
「だから、私は!」
「こんなに震えてるくせに。俺の前では強がらなくてもいいよ」
抱きしめる力を強める総司の背中に、そっとてをまわす
そして、ぎゅーっと抱きついた
絶対に泣き顔が見えないように
「悔しい…悔しいよ……私だって生きたかったのに!!何で自分から捨てるの?私だったら……私だったら絶対にそんなことしないのに!」
馬鹿みたいに涙がでてくる
今まで抱えてた思いが、腕の中から零れていく
「私だって、皆と生きたかったのに!」
総司は、ずっと抱きしめてくれた
私の腕からこぼれ落ちたことばたちを、一つ一つ丁寧に拾うように、頷いて聞いてくれた
私は、遠慮なく、総司の着物に鼻水をつけた


