しん…と静まり返る道場
向き合って座る総司とお沙代さん
私は、気づかれないようにそっと覗いていた
総司の背後にいるので、顔が見えない
その代わり、お沙代さんの顔はよく見えた
今にも泣き出しそうな、緊張したその顔は、とても綺麗だった
長い長い沈黙を破ったのは、総司だった
「お沙代さん、お話しとは?」
総司の声に、ビクッと反応するお沙代さん
「遅くにすみません。今日は、お伝えしたいことがありまして」
お沙代さんは、決意を決めたように、きゅっと顔を引き締める
そして、両手をつき、頭をさげた
「沖田総司さん。私は、貴方が好きです。ここにきてから、ずっと好きでした。私と……夫婦になってください」
頭を下げたままのお沙代さんは、震えていた
総司はいま、どんな顔をしているんだろう
困った顔?
それとも、嬉しくてニヤけてる?
びっくりしてかたまってる?
それとも、幸せそうに微笑んでる?
「お沙代さん、顔をあげてください」
顔は見えないけど、その声でわかった
きっと、真剣にお沙代さんを見つめてる


