山南は、私だとわかると笑顔で手招きをした
「そんなところにいないで、さあ、こちらにおいでなさい」
優しく微笑む山南の方へ、とぼとぼ歩く
「今日は姿が見えないと思ったら、こんな所にいたんですか」
そう言って、山南はゴソゴソと何かを取り出した
「貰い物なんですがね、これを鈴と食べようと思って探していたんですよ」
そう言って、山南が取り出したのは、冷えきった団子だった
もしかして山南は、ずっと探してくれていたんじゃないか
団子のように冷えていた心が、ポカポカと温まっていく
「ありがとう」
私は、山南にお礼をいうと、にっと笑った
私を見て、山南も優しく笑う
「沖田君なら、道場にいましたよ?」
「へ?」
驚く私に、山南がふっと微笑む
「本当は気になって仕方がないんでしょう?きちんと自分の目で、確かめた方がいいとおもいますよ?」
この人は、私のことならなんでもお見通しらしい
でも、私がいっても…
黙る私を見て、山南が更に言う
「迷っているならば行きなさい。迷って立ち止まる事は誰でもあります。でも、いつまでも立ち止まっている事はしてはいけませんよ?それでは、全てを失ってしまいます」
真っすぐ私を見る山南の瞳は、とても強い意思を帯びていた
私だってわかっている
失うのは嫌だ
「ちょっといってくる」
私は、山南に背を向けて走り出した
「鈴!」
ぱっと振り返ると、いつもの様に微笑む山南がい
「よくがんばりましたね」
「…っうん!」
また、山南に助けられてしまった
こんど、ありがとうっていわなきゃ
私は、道場へ急いだ


