お沙代さんは、雪に埋もれた小さな花をわざわざほりおこし、むしり取る
そして、五枚しかない花びらを、一枚ずつむしってゆく
「いう、いわない、いう、いわない、いう…」
そして、またため息をはくと、同じ花をむしり取って、花びらをちぎりはじめる
「いう、いわない、いう、いわない、いう…」
そして、雪がふりつもる寒さのなか、この動作を無限に繰り返すお沙代さん
そのうち、この庭の花が消えてしまうのではないか、心配になる
だが、今のお沙代さんには、そんなことを気にしている余裕がないほど焦って、思いつめているのだろう
それだけ、総司が好きなんだろう
花びらをむしるお沙代さんを、隣で見つめる
ため息をはいて、花びらをむしってを繰り返すお沙代さんは、不思議なことに、とてもきれいにみえた
それと同時に、私の胸のおくがちくりと痛んだ
もし、お沙代さんが想いを伝えて、総司もお沙代さんを想っていたら、二人は夫婦になるのだろうか
なんだか、想像できない
いや、したくないのほうがあっているのだろうか
とりあえず、胸の奥に、モヤモヤがのこった


