1861年文久元年、8月
ジリジリと照りつける日差しが眩しい今日このごろ
実は少し前に、すこぶるめでたいことがあった
そう、なんと勝太が結婚したのだ
奥さんは、とても偉い家の人らしい
つねさんと言って、前に一度だけ見たことがある
美人ではないが、とても暖かい人だと思った
それもとても喜ばしいのだが、もっと嬉しいことがあった
「鈴檎!今日も練習つきあってよ!」
るんるんしながらこっちへ来たのは、ニコニコ笑顔の総司
練習とは、剣ではない
「ええー、いやよ、だってあんなの恥ずかしいもん」
嫌がる私をよそに、「いいからいいから!いくよ!」と、両手を構える総司
これは何を言っても聞いてはくれない
総司が右手を振り上げて下ろすと同時に、私は大きな声をだした
「ドン!!」