斉藤がやって来た日から約一ヶ月くらいは経っただろう
日に日に風が冷たくなってきた今日この頃
試衛館が大きく変化した
その原因は、コイツ
「お沙代(サヨ)ちゃん、元気かぁ〜い」
「あらやだ、新八さんたら〜」
鼻の下をだらしなく伸ばした新八に愛想のいい笑顔を向ける女子
そう、女子である
この男だらけの暑苦しい試衛館に、女中がやって来た
念のため言っておくが、ちゃんと生きている
しかも、クリっとした目に、丸顔の可愛らしい顔をしているときた
そんな女中、お沙代さんの登場により、試衛館の男たちは、毎日毎日鼻の下をだらしなく伸ばしお沙代さんを見つめていた
まあ、さすがに勝太や山南、百戦錬磨の土方は動じていないが
新八や平助なんかは、とくにお沙代さんにデレデレだった
これでは、風紀が乱れて大変だ
別に私はいいけど
そもそも、なぜお沙代さんが試衛館にきたのかと言うと、勝太が、家事をする人が、周助さんの奥様しかいないことに気を使い、周助さんと相談してお沙代さんをよんだためだ
勝太らしいと言えば、勝太らしいが、こんなに男どもが鼻の下を伸ばしてしまっては、しまりがなくなってしまうだろう
まあ、奥様も大助かりと言っていたと勝太が嬉しそうに言っていたし、お沙代さんの働きはよいのだろう
まあ、別に私には関係ないけど
私は、そんな事を縁側でぶつくさぶつくさ考えながら、庭を見つめていた