暇な私は、近くの町まで足をのばして、とぼとぼと歩いていた
勿論誰も見えない訳で
饅頭やら、団子やらを取っては食っていた
暫く町をぐるぐるまわっていて、同じ景色を三回みた所で
「おやめください!!」
「女!!酌の一つでもするのが礼儀ではないか」
などと、何やら物騒な声が聞こえてきた
野次馬の如く近くによると三人くらいの浪士に娘が絡まれていた
残念なことに、皆見てみぬふりだ
そして、また残念なことに、私は亡霊だった
そう、今まで考えもしなかったけど、相手からは私が見えないのだから、私から攻撃すれば勝てるかも知れないのだ
よし
私は、試しに落ちている小石を拾ってみた
そして、投げてみた
すると、小石は見事な弧を描いて浪士の頭に直撃した
「いっ……誰だ、石を投げた奴は」
浪士はキョロキョロするが誰もそれらしき者が定まらない