「で。いきなり何だよ。」
私が体育館の裏に着くと、もう高橋はいた。
「ごめん、いきなり。
なんかさ…淋しくて。」
高橋は、何も言わずに煙草に火をつけた。
「孝明と…別れた。
孝明…私が好きじゃない事、気付いてたんだって。
でも…好きだから一緒にいたいからって…
私、最低だよね…」
「そっか。」
「なんかさ…孝明、さりげなく愛があるんだって事に今日気付いた…
藍も、かわいい顔で笑ってた…
そんな事に、全部今日気付いたんだ…
人の事を誰よりも見てるつもりだったのに…
誰よりも見てなかったんだよね…」
「そっか。」
「でさ…孝明とさっき別れて、部屋に入ったら…
こんな私なんか、誰からも必要とされてないんだって思って…」
もう、これ以上は話すことが出来なかった。
笑ってくれた藍も。
いつものように、笑ってじゃあね、って言った孝明も。
黙って聞いてくれる高橋の優しさも…
全部、全部。
嬉しくて。
自分が情けなくて。
どうしようもない。
