これは少年の物語



少年は云う

君が困っている
と思ったんだ。
それは理由に
ならないかい


狼は云う

お前様は
そのままでは、
馬鹿な獣に
喰われて
しまうのう

最後に、かかっ、と笑った


少年も困ったように笑う
そして、狼にパンを差し出した


口に合うか
わからないけど

む、ありがたく
いただこう。
よもや毒なぞ
いれておらんな?

そんなもの
入れないよ


狼はパンを食べると云った