これは少年の物語




草原のとある一角で狼が動けなくなっていた


お腹が
空いたのかい

少年は問うた


答えが返ってくることはない

少年もわかっていた

だが


お前様は、
なにゆえ我に
声をかけるか


少年は驚いた

狼が人語を解し、話掛けてきたのだから当たり前である