「・・・間宮・・・」


病院の屋上で俺はボーッと立っていた。

手には間宮の母さんから受けとったアンパンマンのキーホルダー。


「・・・間宮、最後まで笑ってたのか。」


今思えば間宮はいつも笑っていたな。


間宮が泣いたのは隣のクラスの女に死ねと言われた時くらいだ。

そりゃ泣くよな。知らなかったとはいえ病気で永く生きられないのに死ねなんて言われて・・・

どれ程悲しかっただろう。


友達をあまり作ろうとしなかったのも別れが悲しかったからなのか。


「・・・・・・」


ツゥと、今さら涙が頬を伝ってきた。間宮はもういなんだ。死んでしまったんだ。


「っ・・・凪・・・」


今まで言えなかった間宮の名前。ようやく言えた。・・・生きている内に言っとけば良かったんだ。


「・・・好き、だよ。凪っ・・・」


そう呟くが当然、返事はない。
すると突然、大きな風がふいた。


〔私も優史君が好き。大好き!〕


間宮の声が聞こえた気がした。


「アホ。俺の方が大好きだよ。凪・・・」


そう言うと笑った間宮の姿が見えた気がした。


間宮の笑顔を見て俺の涙はようやく止まった。





【その恋が終わるまで】完結ー