漆を塗ったような




暗い夜空。




風が木々を揺らし、




その音がうるさいくらいに耳につく。




私はその中で髪留めを探していた。




今は亡き母から貰った、大切な髪留めだった。




家に迷いこんだ子犬と夢中に遊んでいる間に落としてしまったらしい。




子犬がいなくなった後も、必死に探し回った。