急いで部屋に戻り、制服から直衣に着替えて私は部屋を出た。 その時にぐいっと私の腕が引かれた。 『本当に行くつもりなの?』 私の後ろから心配そうな声が聞こえる。 『行かないわけにはいかないよ… 父上の命令は絶対だから。』 後ろの木蓮に向かって言う。 『何かあったら、すぐに呼ぶんだよ?』 『心配性だなぁ。 大丈夫だって! すぐに戻るよ。 戻ったら、明日の予習しようね!』 と明るく言って、私は木蓮の手からするりと抜け出し、父上の部屋まで歩いた。 その時の私の手は、震えていた。