―柚留―


結局、2人でセミダブルの俺のベッドで寝ることになってしまった…

天宮寺さんは洗面所で歯みがきをしてくると、いったん部屋を出た。

俺はというと…

天宮寺さんの分の枕をセットして寝れる体制を作っていた。


「は―…、まずいだろ。これは…」


部屋の真ん中に座り込み、悶々と考えを巡らせていた。


ガチャ…


静かに寝室のドアが開く。
そこには、遠慮がちに部屋に入る天宮寺さんがいた。
ドキッ

俺の心臓が暴れ始める。

抑えろ、俺…

自分で言い聞かせて理性を保った。


「じゃあ先に寝ていてください。俺はちょっと仕事が残ってるので」


俺は本能を制御できなかった…

仕事という口実を作って天宮寺さんを先に寝かせることにしたんだ。

一方、天宮寺さんの方はそんな俺の気持ちも知らないわけで、笑顔で返した。


「わかりました。お仕事頑張ってください」


笑顔に癒されつつも、俺はどことなく笑顔の奥に違和感が感じられた。

ベッドの中に入る天宮寺さんの所に歩み寄る。

近づく俺に疑問を抱いたのか、不思議そうな表情を見せる天宮寺さん。


「何か、不安なことでもあるんですか?」


俺は、そっと優しく彼女に尋ねた。

すると、


「なんでも、お見通しなんですね…」


眉を下げた天宮寺さん。

彼女の笑顔の裏には不安が隠れていた。


「大丈夫。天宮寺さんを一人にはしませんよ?寝るまでここにいます」


そう言って、俺は天宮寺さんが寝つくのを見守っていたのだった。


俺がしっかり支えてあげなきゃ…


この子は俺が守る


絶対に……………