ガン!!
手が震えて落としてしまった携帯。
変な汗が流れてきて気持ち悪くなり、呼吸が乱れる。
「はぁ…っ!…っは……!」
…何で?
どうして、今さらメールなんて…っ
…………助けてっ…!
苦しくて目を瞑った。
コンコン
突然、ドアをノックする音が聞こえた。
あたしは声を出すことが出来ず、まだ呼吸が乱れたまま…
返事がないのを不思議に思ったのか、ドアの向こう側で声が聞こえた。
「いませんか?入りますよ?」
男の人の声だった。
ガチャ…
ゆっくりと開く扉。
見えたのはスーツを着た若い男性。
スラッとした高い身長で、体が引き締まってるように見えた。
とても大人の男性だけど、優しそうな、落ち着いている人だった。
入ってきたその人はあたしの異変にすぐ気づいた。
気付くのは当たり前だった。あたしは椅子に座りながらも苦しそうに前屈みになっていて、呼吸も乱れ、表情を歪めていたから…
「大丈夫ですか!?」
その男の人は慌てて駆け寄り、あたしに話しかける。
同時に握られた手からは温もりが感じられた。
その瞬間、あたしは安心感からか涙が溢れ出てきた。
そして、気が遠退いていった。
「大丈夫、落ち着いて」
そんな優しそうな声を朦朧とした意識の中、聞きながら……………